健康保険(傷病手当金)

健康保険の保険給付の一つに傷病手当金がある。被保険者(任意継続被保険者を除く)が業務災害以外による療養のために休業した際に、所得の保障を図るための給付である。

支給額については、原則として支給を開始する月以前の連続する12か月間の標準報酬月額の平均額を基準として、その平均額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額が、支給対象となる日の1日分の支給額となる。要するに、おおまかには休業する直前の所得の約3分の2を保障しようということである。

支給対象となる日は、被保険者が療養のために労務不能となり継続する3日間の待機期間を経過した日から(労務不能となってから4日目以降)であり、支給を開始した日から通算して1年6月が限度とされている。この支給期間については、以前は支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとされていたが、2022年(令和4年)1月の改正により、支給した日数の累計日数が通算して1年6月間に達するまで支給されることに改められた。例えば一時的に就労に復帰して支給されなかった日数はカウントされないということである(注:ただし、日雇特例被保険者に支給される傷病手当金については取扱いが異なり、支給期間が通算化されていない)。

なお、支給のための要件として、労働できないために賃金を受けない日であることまでは要求されていないが、報酬の全部又は一部を受けることができる期間については、その受けることができる報酬の額が傷病手当金の額より少ない場合に限り、その差額が支給されることになっている。

やや細かい話になるが、支給期間を計算する際の起点となるのは実際に支給を開始した日である。例えば、療養のため労務不能となり継続する3日間の待機期間を経過しても、労務不能の日について報酬を受けていた日には傷病手当金が支給されないことがあり(報酬の額が傷病手当金の額以上であれば傷病手当金は支給されない)、このような場合は、その後報酬を受けなくなった日(又は報酬の額が傷病手当金の額より少なくなった日)(かつ労務不能である最初の日)が支給開始日となる。

また、通算して1年6月間とされる支給期間の計算の仕方は、実際の支給開始日から暦に従って1年6月間の支給期間(日数)の計算を行い、傷病手当金が支給される日ごとに支給期間が減少し、途中に傷病手当金が支給されない無支給期間がある場合には、その無支給期間の日数分について支給期間は減少しないとされている。つまり、暦に従った1年6月間の日数をまず確定し、実際に支給された日数が通算して当該日数に達するまで支給されるということである。

社会保険制度の細部の規定や頻繁に行われる見直しの内容など、複雑でなかなかわかりにくいものです。ご自身で確認するよりは専門家に聞いた方が早い場合も多々あります。ご質問、気になることなどがありましたら、お気軽にご相談ください。

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