健康保険法の被保険者は大別して当然被保険者、任意継続被保険者、日雇特例被保険者がある。このうち当然被保険者は、適用事業所に使用される者(適用除外者を除く)である。
適用事業所とは、常時従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所及び常時5人以上の従業員を使用する法定17業種の個人経営の事業所(以上が強制適用事業所)、並びに、強制適用事業所以外の事業所で任意適用の認可を受けた事業所(任意適用事業所)である。
つまり、例えば法人企業や法人団体の従業員は、適用除外者に該当しない限り、必ず健康保険の被保険者となる。なお、法人の場合、代表取締役等も法人企業等から労働の対象として報酬を得ている限り、健康保険法上、「使用される者」として被保険者に当たると解されている(法人でない社団又は財団(いわゆる権利能力なき社団・財団)の組合長等その理事者の地位にある者についても同様)。健康保険法と厚生年金保険法の「使用される者」は同義であり、両法は原則として一体的に適用されている。
適用事業所に使用される者のうち、適用除外者とされるのは以下の者である。
①臨時に使用される者であって、日々雇入れられる者、又は、2か月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれない者
②季節的業務に使用される者
③臨時的事業の事業所に使用される者
④所在地が一定しない事業所に使用される者
⑤船員保険の被保険者
⑥国民健康保険組合の事業所に使用される者
⑦厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合に対し国民健康保険の被保険者となる旨の申出をした者
⑧後期高齢者医療の被保険者等
⑨短時間労働者であって一定の条件を満たす場合
健康保険法の場合、被保険者についての直接の年齢要件はないが、上記⑧のとおり後期高齢者医療の被保険者の資格を取得(取得時期は原則として75歳の誕生日、65歳以上75歳未満で一定の障害認定を受ける場合も含む)すると適用除外者に該当するため、遅くとも75歳の誕生日(又は65歳以上で一定の障害認定を受けた日)に健康保険の被保険者資格を喪失することになる。
また、短時間労働者については、累次の法改正によって被用者保険の適用拡大が進められてきたが、令和8年(2026年)10月1日時点では、1週間の所定労働時間又は1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満である場合であって、次のいずれかに該当する場合は適用が除外されている。
・1週間の所定労働時間が20時間未満であること
・学生等(学校教育法に規定する高等学校の生徒、大学の学生その他厚生労働省令で定める者)に該当すること
・特定適用事業所(任意特定適用事業所の申出を行った事業所を含む)に使用される者でないこと
このうち、「特定適用事業所」とは、当分の間、特定労働者(大まかには70歳未満の被保険者、ただし4分の3未満短時間労働者は被保険者であっても含まない)が常時51人以上の同一の事業主に係る適用事業所のことである。特定適用事業所の特定労働者数(規模)の要件は、順次緩和されており、令和6年(2024年)10月1日施行の改正により「50人を超える」ことに緩和され、今後も段階的に緩和され、最終的には規模要件は撤廃される方向で計画されている。
なお、上記の短時間労働者はパートタイマー等のいわゆる非正規雇用労働者のことを想定しており、所定労働時間がフルタイムの正規型の労働者と比較して短い労働者であっても、「短時間正社員」に該当する場合は、所定労働時間の長短にかかわらず、被保険者資格を取得するとされていることには注意したい。
ここでいう「短時間正社員」とは、他のフルタイムの正規型の労働者と比較し、その所定労働時間が短い正規型の労働者であって、①期間の定めのない労働契約を締結し、かつ、②時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種のフルタイムの正規型の労働者と同等であるものを指す。
社会保険制度の細部の規定や頻繁に行われる見直しの内容など、複雑でなかなかわかりにくいものです。ご自身で確認するよりは専門家に聞いた方が早い場合も多々あります。ご質問、気になることなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
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