働く人の仕事と生活の両立、次世代育成支援などが大きな課題となる中で、育児休業や介護休業の制度の充実が図られてきた。育児休業の制度は1992年(平成4年)に義務化された(介護休業は1995年に努力義務とされ、1999年に義務化)。その後、一定の要件を満たす有期契約労働者などへの休業対象者の拡大、子が保育所に入れない等の場合に1歳6か月まで、ないし2歳までの延長、父母ともに育児休業をする場合の1歳2か月までの取得(いわゆるパパ・ママ育休プラス)などが認められている。

期間を定めて雇用される有期契約労働者については、一定の制限があるが、数次の改正によって制限が緩和されてきた。最近の改正(2022年(令和4年)4月施行)後は、養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者に限り、育児休業の申出をすることができるとされている。つまり、子が1歳6か月に達する日まで雇用継続の可能性があることが必要だ。従来は、これに加えて、当該事業主に引き続き1年以上雇用された労働者であることも要求されていたが、なるべく雇用形態に関わらず育児休業や介護休業を取得できるようにするという観点から、この要件は削除された(介護休業に関しても同様に要件が緩和された)。1歳6か月から2歳に達するまでの子について期間雇用者が育児休業の申出をする場合には、上記の「1歳6か月」とあるのは「2歳」と読み替え、子が2歳に達する日まで雇用継続の可能性があることが必要となる。

なお、労使協定の締結によって一定の労働者からの育児休業(介護休業)の申出を事業主は拒むことができるとされており、上記の要件を満たす期間雇用者であっても、例えば次のような労働者を、育児休業(介護休業)をすることができないものとして定めている場合には、適用が除外される。

  • 継続雇用1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

労使協定の内容は事業所によって異なるので、確認が必要だ。

いずれにしても、法律上、事業主は、要件を満たす労働者から育児休業の申出があったときは、それを拒むことができない。また、事業主は、労働者が育児休業の申出をしたこと、あるいは育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない旨が法律に明記されている。かつては婚姻、出産、育児を理由として職業の継続を事実上あきらめざるを得ないような慣習が一部の企業では見られたが、現在では、子育てをしながら働く者の権利が守られるよう、必要な制度がほぼ整っていることを覚えておこう。

法の規定や頻繁に変わる通達の内容など、複雑でなかなかわかりにくいものです。ご自身で確認するよりは専門家に聞いた方が早い場合も多々あります。ご質問、気になることなどがありましたら、お気軽にご相談ください。

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