初めて国民年金の被保険者となると、かつては厚生労働大臣(実際は日本年金機構)が作成した「国民年金手帳」が被保険者に交付されていた。国民年金手帳には、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、交付年月日などが記され、被保険者となった期間や種別の記録を記載するようになっていた。厚生年金保険においても、厚生労働大臣(日本年金機構)が作成して被保険者(第1号厚生年金被保険者に限る)に交付する厚生年金保険に係る手帳として「年金手帳」が存在した(両者は1974年(昭和49年)からは一体化されていた)。しかし、2022年(令和4年)4月施行の改正により、国民年金手帳及び年金手帳(以下、「手帳」という。)は廃止され、替わりに基礎年金番号通知書が発行されることになった。
現在は、被保険者の情報は電子的にシステム上で管理されており、マイナンバー(個人番号)制度も導入され、各種手続においても個人番号を記載する場合は基礎年金番号を明らかにする書類の提出は不要とされていることなどから、手帳の必要性は乏しく、主として新たに被保険者となった者への基礎年金番号を通知する目的で手帳の交付が続けられていたが、手帳が廃止され、基礎年金番号通知書に切り替えられた。今後は、新たに国民年金の被保険者(第1号厚生年金被保険者を除く)となった者へは、基礎年金番号通知書が交付される。なお、第1号厚生年金の被保険者(民間企業等の従業員)は、初めて厚生年金保険の被保険者となった者(既に国民年金法に基づき基礎年金番号通知書の交付を受けた者を除く)に対し、厚生年金保険法に基づいて基礎年金番号通知書が作成され、通常は事業主を通じて交付される。
例えば20歳未満で就職し第1号厚生年金被保険者となった者には、事業主を通じて基礎年金番号通知書が交付されるが、20歳以上で民間企業等に就職すると、既に20歳に達した時点で国民年金第1号被保険者の資格を取得し基礎年金番号通知書の交付を受けているはずなので、改めて厚生年金保険法に基づき基礎年金番号通知書が作成・交付されることはない。例えば大卒新入社員の場合は、通常、入社時に事業主から基礎年金番号の確認を求められることになるので、基礎年金番号通知書(又は手帳)は亡くさないよう保管しておく必要がある。20歳当時は学生等で、国民年金の学生納付特例の制度を利用して保険料の全額免除を受けている場合も多く、自分の基礎年金番号の管理もおろそかになりがちだが、就職した際に慌てないよう注意したい。
なお、厚生年金保険の第2号から第4号までの被保険者(共済組合の組合員又は私立学校教職員共済制度の加入者)には、従来から年金手帳は作成・交付されず、基礎年金番号通知書が交付されていたが、これらは改正後の基礎年金番号通知書に統合された。基礎年金番号通知書を共済組合の組合員等に交付する場合には、共済組合等を経由して交付される。
社会保険制度の細部の規定や頻繁に行われる見直しの内容など、複雑でなかなかわかりにくいものです。ご自身で確認するよりは専門家に聞いた方が早い場合も多々あります。ご質問、気になることなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
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