20歳前傷病による障害基礎年金は無拠出制の年金であるため、本来の障害基礎年金に適用される一般的な支給停止事由(障害等級に該当しなくなった場合や、労働基準法による障害補償を受けられる場合)以外に、以下のような特有の支給停止事由が定められている。
①一定の年金給付(労災保険法、恩給法、船員法等による年金給付)を受けられる場合(ただし、20歳前傷病による障害年金の額がそれらの年金給付の額を超えるときは、その超える部分は支給される)。
②刑事施設、労役場又は少年院その他これに準ずる施設に拘禁又は収容されているとき(ただし、刑事施設等への拘禁については、有罪判決が確定して刑の執行を受けている者に限定され、未決拘留者等は対象とならない)。
③日本国内に住所を有しないとき。
④ 受給権者の前年の所得が一定額を超えるとき。
原則として、受給権者の前年の所得(受給権者本人の所得)が扶養親族等の有無及び数に応じて政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、その全部又は2分の1が支給停止となる。例えば、扶養親族等がない場合は、前年所得が472万1千円(2021年(令和3年)10月現在、以下同じ)を超えると、全額が支給停止となり、370万4千円を超え472万1千円以下の場合は、2分の1が支給停止となる。子の加算額は2分の1の計算には含まれず、2分の1が支給停止となっても子の加算額は支給されるが、全額停止の場合は子の加算額も含め全額が支給されない。
なお、支給停止となる時期は、以前はその年の8月から翌年の7月までとされていたが、2021年(令和3年)8月施行の改正により、その年の10月から翌年の9月までに改められた。
前年所得による支給制限には災害等を被った場合の例外があり、受給権者の前年又は前々年の所得を理由として支給が停止されていた20歳前傷病による障害基礎年金の受給権者が、震災、風水害、火災その他の災害により自己又は扶養親族等が所有する住宅、家財等が損害(その価額のおおむね2分の1以上の損害)を受けた場合は、その損害を受けた月から翌年の9月までは原則として支給は停止されない。ただし、その損害を受けた年の所得が一定基準を超えるときは、その損害を受けた月に遡ってやはり支給が停止される。
社会保険制度の細部の規定や頻繁に行われる見直しの内容など、複雑でなかなかわかりにくいものです。ご自身で確認するよりは専門家に聞いた方が早い場合も多々あります。ご質問、気になることなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
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